椅子に座っていろいろな望遠鏡 その4

天体望遠鏡は見た目が上下左右逆になります。望遠鏡は凸レンズを2枚以上組み合わせるケプラー式です。おなじケプラー式でもプリズムを使って光路を変えると正立像をえられます。天体の場合は地上用プリズムという名前で市販されています。三角のプリズムで四回光を跳ね返すのがポロ式。Z型ともいいます。双眼鏡の筒がジグザグしているのはこのためです。

双眼鏡 – Wikipedia
双眼鏡愛好会・双眼鏡の種類

私は天体写真を撮らず、目で見て楽しむ純眼視派です。天体望遠鏡をつかうと裏像なので自分がどこをみているのか見失います。そこで大型双眼鏡が最適!と対空双眼鏡を使っていたことがありました。あいにくその対空用の双眼鏡は接眼部分が45度に傾いています。視線の見ている方向と筒が向いている場所がずれています。たしか倍率が30倍くらいあって、観察している内に自分がどこを見ているのか分らなくなりました。望遠鏡はまっすぐな筒にかぎります。

ほかにもスポッティングスコープを使ったことがあります。十五倍で手持ちにしていました。対物五十ミリで軽い方ですが、重いし倍率が大きすぎて使い物になりません。フォーカスの動作が筒前のノブを回すタイプなので、焦点を合わせるたびに保持する手が動きバランスが崩れます。すぐ目の前の雀をみたいのに導入しているうちに逃げられてしまいます。かりにうまく視界にいれてもピント合わせに時間がかかるうえ、手ブレで観られたものではありません。使い方を間違っています。

双眼鏡は何台も試してきました。骨董品をレストアして使うことが多々あります。双眼鏡は光軸がずれるとオシマイです。昭和三十年代のモデルは構造が単純で修理もなんとかできます。コストカットを極めた最近の双眼鏡は不都合が多いので直せません。

双眼鏡の光軸検査器

そんなこんなでたどり着いたのは単眼鏡です。双眼鏡同様単眼鏡も正立像なのでどこを見ているかすぐに分ります。初めのうちはダハプリズムを馬鹿にしてZ型の、筒がジグザグしている単眼鏡から試してみたのですが、スポッティングスコープ同様狙いが付けにくく、とっさの時にどこを見ているのか微妙に分らなくなります。ジェット機の導入のときにこれをやると致命的な失敗となります。そこで、ケプラー式はそのままに筒がまっすぐになるダハプリズム式の単眼鏡を使うようになりました。

単眼なので多少ラフに扱っても光軸のズレる心配がありません。仮に分解しても丁寧に組み直せば直ります。筒がひとつ分なので軽くて取り回しが良いのも利点です。いままでどうして双眼にこだわっていたのか。いまとなっては謎です。

単眼鏡に似ているライフルスコープも持っていますがこちらはガリレオ式なので視界はせまくなります。性能は悪くありませんが普段人前で使うにはいささかためらう形です。なによりアイリリーフといって目とレンズの距離が離れているのは観測向きではありません。

単眼鏡 モノキュラー 美術館用 ギャラリースコープ KM-616 6倍 16mm 6×16

単眼鏡は大きく分けてギャラリースコープと普通の単眼鏡があります。普通のを使っていましたが、あるとき手に入れたギャラリースコープの使い心地がよくて気に入りました。ふつうの単眼鏡は接眼部分の筒をまわして焦点をあわせますが、ギャラリースコープは主鏡側の筒をまわすとピントが合います。対象物を見ながらカメラ同様の動作でピントを合わせるので、飛んでるジェット機をピントでも追いかけることができます。接眼側が回るタイプでも同様の動作ができますが、いまのところギャラリースコープのほうが扱いやすく感じます。ギャラリースコープは性質上60センチくらいまでピントが合いますので、庭に来る小鳥を追いかけることも、遠方の旅客機も一台で観察できます。

単眼鏡が増えてきました。以前は椅子に座ったまま双眼鏡を使う装置を考えてましたが考えているうちに単眼鏡ブームがきています。天体は手持ちより固定のほうが見やすいので固定方法を考えます。

いくつか方法があります。三脚を横に置いたシーソーを使う方法。独立した台座に望遠鏡をのせるやり方です。

おすすめ双眼鏡まとめ@ ウィキ – 勉強になるレスまとめ-2

これまで何度も設計で断念したのが、椅子に棒をつけて、その棒に望遠鏡を付ける方法です。いくつか考えられますが、安全性の確保ができませんで、作れませんでした。筒を目につけて椅子に座るので、なにかの事故で目を圧迫するような構造では危なくてつかえません。形だけつくるのはできますし安全性を無視してよいのなら簡単なのですが要件を一個増やしたが為に作れなくなっていました。回転椅子を使えば水平回転はそのまま使えます。水平回転が手に入ればあとは仰角とエレベーター式の位置調整装置だけです。そこで、放置気味ではありますが長いことこの設計を考えてきました。今日になってスケッチをみていたら安全策を思いつきました。

体を動かしたときに望遠鏡が目に当たらなければ良いのです。望遠鏡がX-Z平面上に自由に動けば良いわけです。それにはY軸つかって望遠鏡が取り付け台座ごと逃げればよいのです。

以前は目の近くに筒を置き、筒を自在に動かすことを考えていました。しかしこの方法ですと顔の近くに部品が増えます。部品が増えれば角が増え、全部の角を丸めねばなりません。それでは大変すぎます。そこで発想を転換し椅子に取り付けるパイプごと水平に動く機能をつけることにしました。

材料は基本的にビデオカメラスタビライザーの部品を使います。材料もほとんど流用で済むでしょう。事務椅子ベースでわりと単純な仕組みで収まりそうです。