レンタルビデオの終焉

良く通る道にあるレンタルビデオ店が閉じていました。中の什器を運び出しているので移転か撤退。もともとその場所は1999年くらいまで本屋でした。当時は本屋だらけで、たかが3キロほどの高校から自宅までの間に立ち寄ろうと思えば駅前を含めて10件ほどの書店がありました。毎日一件ずつ寄っても一週間かかります。私はもっぱら古書店の文庫本専門でしたので、いくらあるといってもすべてを回ることはありませんでした。

多くの書店がいつの間にか撤退してゆきました。ある場所は新古書店になりました棚はそのまま使ったのかもしれません。地元スーパー系列の新刊書店はしばらくして店舗自体を破壊して立て直し学習塾になりました。1996年が出版点数のピークでしたので、そののち数年は書店バブルが続きます。新刊が増えれば古本も増えますので新古書店も泡のごとくし。

当時地元を離れていました。数年が経ち地元に帰って来ると新刊の書店は完全な書店からレンタル併設店に鞍替えして売り場面積を減らしていました。今日ふとみたら店じまいしていたビデオ屋も、もとは書店です。

個人経営の小さな書店も沢山あったように思います。ビデオと同じ古い通りにある別の建物が今日もまた解体していました。たぶんあそこは私が物心つく以前に元々書店だったはずです。ビデオ屋のはす向かいにあたるギフトショップは先月消えていました。また別の通りでは美容室が空になっていました。

商売が成立しなくなるとテナントは逃げます。特に売り上げがとまってやめた場所は立地の評価が落ちていますから次に入る人が来ません。私の住む水戸に限らず車社会の地方都市は土地が余って限り人口の集中が起きません。

水戸から見て西、駅ひとつ東京よりの場所に内原があります。ここは何にもない場所でした。近年イオンが築城。イオンの集客に1枚噛むため、紳士服、家電、携帯ショップなどが雨後の竹の子のごとく林立しています。周囲は田んぼだらけですが、そう遠くない未来にイオン城下街として人口の集中が起きるはずです。そんな人の流れがある場所に新しくお店はできますが、人の流れがないこっちには人の流れはありません。ビデオ屋に限って言えば、ネットに親和性のある層はぽすれんでもHuluでも使うはず。電動自転車で買い物をする団塊より上の世代はビデオを借りてみる習慣はなさそうです。たぶんBSで日本映画チャンネルや「寅さん」を見てると思います。こうなると、中途半端にネット環境が無い人しか残りませんので、奪い合うパイは確実に減ってお店の数も比例して減っていくのです。