厳密警察の方から来ました

下駄箱に靴を入れたり筆入れに鉛筆を入れる今日この頃。

世の中には厳密が好きな人がいます。テレビの「バンキシャ」をみて、硫黄にニオイがないと突っ込んだ人がいました。硫黄にはニオイがないんだそうです。わたしら庶民が思う硫黄のニオイは硫化水素のニオイ。

硫黄(いおう) – 語源由来辞典
語源からたどると硫黄が硫化水素自体もさしていると考えられます。

「硫黄」を科学物質で言う場合と、日常的に使う場合ではその意味が違いますから学術の世界では硫黄にニオイがないで正解です。そういうひとが身近に居たらコイツ面倒くさいなあと思うばかりです。

かくいうわたくしも、めんどうくさい性質を持ちます。

御嶽山に投入された自衛隊の装備のなかで戦車と表現される乗り物があります。
89式装甲戦闘車 – Wikipedia

子供の頃から戦車と自走砲は違うモノだと教育を受けてきましたので、あれを観て戦車ではないと理解しました。戦車にしては主砲が小さすぎます。ジャンルとしては装甲車。地上部隊の支援をする車両です。

なぜ89式が戦車ではないと私が断言できたのか。それは戦車の定義をたたき込まれていたからです。戦車とは、最初のマークⅠシリーズをのぞき、対戦車戦で戦える主砲をもち、同時に敵の主砲に対抗できる装甲を持つ、無限軌道で移動する車両のことをさします。最初のマークⅠをのぞくのは、最初の戦車だから対戦車戦を想定していないので除外されます。

そう、私たちは面倒くさいのです。

セーラー服と機関銃(1981)- 薬師丸ひろ子 – YouTube
セーラー服と機関銃の機関銃がアメリカ製のM3通称グリースガンで、拳銃弾(.45ACP ACPはオートコルトピストルの意)であることから、正確には「セーラー服と短機関銃」ではないかと思う人もこの仲間にいれましょう。ちなみにグリースガンは設計を省力化するためそれまでの短機関銃を構成していた鉄の削りだし部品を排除。かわりに大量生産に向いたプレス部品を多用しました。部品の製造組み立て、プレスのノウハウを持つ自動車会社が製造を委託され、今はずいぶんと落ち目になってしまったゼネラルモータース社が製造していました。小学生のときに仕入れた知識ですが、オトナになっても使いどころがありません。ほうっておくとこの後、戦国時代の火縄銃を作っていた国友氏と明治維新後の自転車製造の話、レミントンのタイプライターとライフルの関係などを語り出しますので近くに居る人は気をつけましょう。

硫黄にニオイが無いと言う人と、戦車と装甲車両の違いをそらんじている人は疎ましく思われますから、軽々に人前で発言しないことをお勧めいたします。というか肝に銘じておこう。それとテレビに突っ込みを入れるときは、きっと暇すぎるので新しい趣味を見つけよう。ラッキーカラーはビリジアン。子供の頃青信号が緑色で、あれは青じゃなくて緑信号だ!と言い張る人の性格は一生直らないのです。

人それぞれ信じているものがちがいます。硫黄はニオイがしないと思う人も89式装甲戦闘車を戦車ではないと思う人も、「バールのようなもの」で頭を悩ませる人も、たぶんそっち側はそちら側で仲良くしていますので皆さんが思うほど寂しくはありません。そして彼らはテレビに突っ込むくらいに自分が寂しいことに無自覚です。

戦車男

バールのようなもの (文春文庫)