自動調理鍋に見る日本の道具の進化について

業界初 電気無水鍋「ヘルシオ ホットクック」を発売|ニュースリリース:シャープ
最初にルーを入れたカレーはとおいしくないぞ。まずアク抜き。ついでスープに味をつけて1度加熱をとめて味を染みこませて、カレールーを入れるときも火を止めて温度を下げます。70度くらいのほうがルーは溶けやすく、まんべんなく混ぜたあとにデンプン質に火を入れて糊化します。かき混ぜ棒が底に付かないから粘度を高いカレーを作ると焦げないか心配。

高機能化のなかでも面白い進化です。

日本のおじさんが主婦ってこんなもんだろうって想像力で作る家電製品は、とにかく作っているうちにどういうわけかボタンが沢山あると製品は偉いぜって進化をしていきます。

「なあ、おまえ、今度うちで電子レンジをつくるんだ。牛乳暖め機能てどうだ?」「あら便利ねぇ」

たぶんこういう会話をしているのです。

「今度うちで電子レンジを作るんだ」「牛乳に対して何calを与えるのか、温度は内部センサーで読むの?それとも重量から推測するの?」

なんて聞く嫁はいない。そして誰かの嫁になるような器量よしの奥様は家電メーカーの家電開発部門には関わらず、専業主婦なので自動調理鍋をつかうわけでもなく、結局身近に居ない誰かのための鍋を社運を賭けて作るという不思議な構造になります。「あら便利ねぇ」っていう嫁ばかり居る上司のハンコをらって、意気揚々と家電量販店に並べて、運を天に任せるのは菊花賞を取るよりむつかしいのではないかしらん。

家電の高機能化をは昔どこか通った道。そうだミシン。「マイコンミシン」とおなじ進化をしています。家庭用電化製品に限らず、最後は必ず高機能化してボタンだらけにして、誰も使わなくなります。

品物が大量に作って世に出て行くと、競合他社が似たような商品を作って価格が下がってしまいます。

エライ我が社はほかとは違うところを見せてやるぜって気張って作るとやり過ぎて日本製電化製品の伝家の宝刀、「多ボタン高機能化」がますます進化します。

アイリスオオヤマあたりの開発力は微妙だけれど手が早いところがおっつけで似たものを作って高価格帯が崩れます。映画も似たような傾向があって、あさま山荘とか、スピード2のシナリオとか競合企画があるときは腕の有無より仕事の速さで勝負が付きます。日本のお店で普通に売っている製品ってだいたい形がギリギリあって、物としてあんまり考えられていないものが市場に出回って売れていきます。だから、なるべく最初に企画が立ち上がった物を買って下さい。