買うまでが楽しい

子供のころ二日連休の前の日が楽しかった。

日月と休みなら、その前日の土曜日。その日は「あと二日休めるから」と、いつもは行かない場所に行ったり、無理して夜遅くおきてみたり。

だがそんな楽しさも連休に入ると霧散してしまう。午前中寝ていたり平日昼のテレビが主婦向けでつまらないと嘆くだけ。何事もやり始める前が一番楽しいのかもしれない。

買い物も同じ。

先日、本を買った。数年来探していたある作家のエッセイである。

相場を無視した高値で買ってしまったが、読んでみるとこれまで見たことのある小文の再録がほとんどで思うほど目新しくなかった。

欲しいものは手に入ると安心する。けれど「無かった頃のドキドキ感」はなくなってしまう。

欲しいものはあるけど買えないって状況が実は一番楽しいのかもしれない。ものが無い切望感は案外楽しいのだ。切望感を知らぬまま大人になるのは絶対に損をしているに違いない。

そう思うと何でも欲しいものを買って貰える今の子供はかわいそうで、パソコンでも車でもつかえるものがそれなりに変えてしまう今の大人もかわいそうである。今から思えば、大して役に立たないメーカーパソコンが30万円だったりMacの上位機種が50万円を越えていた頃のほうが、案外幸せだったのではないだろうか。

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