ししてしかバネ

南方戦線の手記を読んでる。飛行機の性能がよくて航空戦で米軍を圧倒していたのは、本の前半まで。中盤からおかしくなってくる。人望の厚いベテランパイロットがどんどん撃墜される。米空軍はテクニックではなく物量で押してくる。はっきりいうと、航空戦だけならまだ勝ててた。

飛行機で勝てない米軍はどうしたかというと、飛行場の爆撃を始めた。ついで、日本軍の伸びた兵站を蛙飛びに攻撃。補給基地の港をとびとびに叩く。すると、物資がすぐに尽きて戦闘が続けられなくなって、航空戦なんてできなくなる。これが中盤。

本の後半は人を食った話。どうしてこうなったのか、流れが分かってよかった。早めに逃げた師団長は助かるけれど、取り残された兵士はそうね、1/20くらいの割合で生存。95パーセントが知らない土地で眠りにつくことになる。敗走中にほとんどが病死。運が悪いと土民に襲われ、腹を空かせた味方に食われてしまう。味方を食べるためのテクニックにオレオレ詐欺の原型をみた。

そりゃ、戦後何十年と、中学歴史は太平洋戦争までとどかないように巧妙に仕組むわね。「身近な戦争経験者に歴史を教えてもらおう!」なんてできるわけがない。20パーセントくらいまでの戦死率で、残りが生き残ったときはいろいろできる昔話もあるだろうが、部隊がほぼ全滅した戦争なら生き残りは口を開けない。

[新訳]戦争論