トレーラーの事故


事故発生時間に外にいた。サイレンの音を耳にして、火事かと空を仰いだが煙はなかった。

池のほとりで市の消防関係者がテキパキとテント設営をしていた。

彼らも後に出動したろう。なにせ国道を4時間近く止める事故だ。

5日午後1時ごろ、水戸市若宮1丁目の国道6号で、大型トレーラーが急ブレーキをかけたところ、荷台の鉄板が荷崩れして運転席を押しつぶした。
目撃者によると、ブレーキの直前に犬が左から道路に飛び出し、現場に犬の死体があったという。

私がいた場所から取材ヘリが青柳・枝川上空に見えた。だから那珂川で水難事故でもあったか、常磐線が脱線したのだろうかと想像した。そのくらいじゃないとヘリコプターはこない。

どちらにしても、仕事の途中だし。大人になので野次馬根性もしぼんで、見に行く気にはならなかった。

ヘリコプターの羽音は何時までたっても止まらない。

午後4時過ぎに、事故現場から2km南を通った。普段は混雑する国道6号が登り車線に車が3台しかなかった。すこし、様子がおかしい。

サイレンの音とヘリコプターの動きから推測すると、午後1時ごろから道路封鎖が始まり、5時のニュースに合わせてヘリが帰るまで道路はふさがっていたようだ。もっと時間がかかったかもしれない。トレーラー1台に1枚1.6トンの鉄板が14枚。横にどけるだけで時間はかかる。

悪意どころか犬を避けようとして起きた善意の事故なので、事故の当事者にはかける言葉もない。

原因は分からない。ただ、構造上事故の起こりやすい場所である。地元に住んでいれば、「若宮交差点で事故」は何度も聴いている。考えられる原因はいくつかあるが、ひとつは直線、もうひとつは高低差があることが事故の発生につながるのではないだろうか。

事故がおきる直前、トレーラーは幅の広い片側二車線の道路を走ることになる。途中枝川方面から進入路があり混雑時は神経を使うが、走っている台数が少なければ飛ばしやすい場所だ。

那珂川を越える橋に向って緩いのぼりが続き、橋を過ぎるとなだらかな下り坂が続く。普通乗用車では感じない程度の下り坂だが、総重量が大きいトレーラーにとっては少なからぬ影響があるだろう。

見晴らしの良い直線なので流れが速く、今回事故のあった場所の直後に桜川を越えるタイコ型の橋が続く。この橋は若宮交差点から150mほどで10m近く登るためかなり急な坂である。大型車両は勢いをつけて越えようとしても不思議ではない。川だけではなくJR常磐線を越えるために高く作ってあるのだが、この構造はそろそろ直したほうがいいのかもしれない。

左右は住宅地だが、すぐ近くに川が流れているので野良犬がうろうろしている。だから、犬がいるのは不思議ではない。ただ、トレーラー運転手がなぜ避けようとしたのか。よっぽどいい人なのか。愛犬家だろうか。