偽装のデパート

デパートにはとんと縁がなくて、食堂も行くことはありません。だから芝エビと車エビの入れ替わったエビチリを食べる機会もなく過ごしています。

学生時代通っていたスーパーは平気で種類の違う2種類の肉を巻いて売ってました。あれは観て分かるけど焼かれたら分からないかも。

デパートの側の肩を持ってエビの違いが分かる人だけ文句を言うべきだという意見もあります。それじゃあ、分からなければ泣き寝入りすべきとなります。騙したほうが勝ちとなります。騙すより騙される方が悪いのならタレントのサインをネットオークションに出して儲けた場合、買い手の誤認だから買った人間が悪くて売った方は無罪です。これは暴論。表記と違う物を提供するのは契約を無視しているのですから罪なのです。

論点はエビの定義でした。中華の世界で小さいエビをぜんぶ芝エビというならばそういうものかと納得できます。

モンブランの栗は欧州産と書いて中国産を出しているのは、栗の世界では良くあるのかもしれません。有名百貨店では中国と書いておうしゅーと読むのだと思えば納得できますし、百貨店の人は地理が苦手なのだと考えて、罪に問うことはやめようと思います。だいたい、ロブションだかなんだか知りませんけどそうそう全部思い通りの材料は揃うわけがなく、産地の表記などという余計なことをサービスと勘違いして書き始めたのがケチのつき始めです。食い物でガタガタ言うのはみっともないし、蘊蓄もどうせネット経由で仕入れたネタでは広がりませんのでやめましょう。

百貨店は包装紙に価値があります。レストランも立地と看板が重要。包み紙に価値を見いだす人が包み紙のレストランでエビを食べていて、たまたまエビの学名がちがってもそれは適切な箱に入っているのですから怒ってはいけません。代用血液だといって海水を輸血されたら死んじゃうから怒っても良いと思いますが、エビの学名が違うくらいでエビはエビ。車エビだって自分が車エビだとおもって生まれてきてませんし。飲み屋のねーちゃんが現役女子大生かどうかよりもかわいいかどうかが重要なのでエビもうまければ何でもいいのです。あれ、最初と意見がずれてきた。

デパートに関して言うとだいたい、中くらいの仕立てのよい背広を着ている人に給仕されれば、芝エビも車エビに見えてしまいます。偽装と誤表記は違いますが、結果は一緒なのだから素直にわびればいいものを、下手に意地を張るとろくなことがありません。

最初に食品偽装が発覚したデパートの社長は、偽装ではなく誤表記だと繰り返していました。意図的な偽りではないとしています。ただ、食べた方からすればそれが故意か未必かミスかなんて関係なくて、ただ、社長としては自分と会社の立場の話ばかりしていて、責任なりお客の感情を慰撫する内容は一切発してませんでした。もしあそこで謝罪をすると、きっと、関西のことですから家に謝りに来いという電話が会社にかかって来るのでしょう。会見している人の顔と、物言いをみてそう感じました。関東の謝罪会見とはまた別な背景が見えてきます。

メニュー偽装の少し前。みずほ銀行の会見は、いままでの社長よりだいぶマシな会見をしていて感心しました。やったことはとても褒められやしませんが、会見の言葉は、三行が合併したみずほの、これまでの他の二行出身の社長に比べて人間らしい血の通った言葉になっていました。今までほんとうにひどかった。あれはない。あと、銀行の記者会見はもうすこし広い場所でやるべき。いつも狭い事務所で会見してるのはなぜ。記者クラブ?

いまはまだ内部告発の形でしか偽装が見抜けませんが、食品分析の機器が小型になり、エビのDNAデータベースにクラウドで繋いでその場で検索出来るようになったら、今よりもっと面倒くさいことになります。いまのうちに止まって良かった。