夜、発作的にラーメンが食べたくなってラーメン屋に行った。国道は空いてた。前を走る銀色の軽自動車がウインカーなしで右車線に斜めに進み、後続の白い普通乗用車にぶつかりそうになって慌ててステアリングを左に戻した。
ちいさな液晶画面に気を取られたか、居眠りか。確かめるには追い越さねばならぬが危険だから間に2台挟んで車間距離をとってゆっくり走る。2キロ走っていまだ安定しない運転の銀色軽自動車は私の前を走っているが、ラーメン屋に着いてしまったから後は知らない。
駐車場は混んでて、一番奥に駐め多。入口のドアは今日の夕立で濡れたからなのだろう、ドアのヒンジの下に泥が溜まって開閉する度にギーギーと鳴る。店員は午後チームから最終の締めチームと交代。いつもおいしい熱々で味の濃いラーメンを作ってくれる店長はおらず、パートの主婦が仕切っているのでスープが優しい味だった。
もっと濃い味がほしかった。
しばらくすると私の左にひとり。もうしばらくするとさらに左に今度は女が座った。一緒似入って来た男二人組のツレかと思ったが、一人ラーメンらしい。男前の人。
「キムチトッピングで味濃いめで」と手慣れた手順で食べたいものを伝えた
味濃いめで
10年くらい、ときどき通っているお店だが、そのオーダーの仕方ははじめて聞いたぞ。そんなこと頼んでいいのか。
ひとついいことを聞いた。次回また主婦チームが仕切りのときは味濃いめを頼んでみよう。おそらくニンニクと唐辛子のエキスのなにかが体から抜けてしまい、またらーめんがどうしても食べたくなるまでに半年から三ヶ月はかかるだろう。
次は夏か。