ソープボックスカーレース

15度くらいの緩い坂をくだるソープボックスレースがお台場で開催されました。おじいさまが孫を楽しませようと15度の坂をつくったわけですが、あそこに来るのはお行儀のよいこばかりですって。若者の車バナレを危惧したジジイが、そうだ、子供に車を楽しんでもらえばいいじゃないか!とやってみたらあの角度。事なかれ主義の極みですね。自動車が毎日二人の子供を川向こうに送っていることをおもうと、あの程度の坂しか作らない連中は相変わらず嘘くさくみえます。

ソープボックスカーレースってもっと高速ですよ。お台場は本家に比べて坂の角度が温くて憤りを感じます。あんなの30度くらいにしないと加速しませんって。

自家製台車でアスファルトが乗らないようなコンクリの急峻な坂を勝手にくだっていた私から観ると、大人がつくったアリ物のマシンでお台場の平地を辛うじて進むようなレースはレースといいません。おままごとです。あんな乗り物に乗るくらいなら、そりゃ、いまの若い世代は携帯買って家から出ず車を買うお金でオンラインゲームもするわけです。

私は彼らが車を買わない理由を知っています。優秀なビジネスパーソンなら当然ご存知のアレのことです。田舎のテレビがNHK込みでローカル3局くらいしかない場所で朝から晩まで運動ばかりしてる子供ならともかく、忙しくて妙に老成した東京の子供が「おとなになったら車を買おう」なんて思わないでしょう。

どのくらい無理筋かというと、日本刀を若者に買わせるのと同じくらい難しい。若者の日本刀ばなれを食い止めるために子供たちに日本刀に親しんでもらうイベントが開かれたとします。小太刀で藁束をきったりして「大人になったら日本刀を買うよ!」と思う子供はいるでしょうか。いや、無理。子供を相手にせざるを得なくなった時点で、そう、日本刀を子供に買わせるというその構造自体に致命的な欠陥があるのです。

欲しがらない物を買ってもらうために大人がこどもにこの位でいいだろうと楽しみを与えるから失敗するんです。子供は大人が加減していることを見抜きます。

そこで提案。お台場をやめて吉原でやれ。「吉原ソープボックスカーレース」。うん。いろいろ競うね。乗ってるおねえさんを取材しても目のとこ手で隠しちゃうけど。あと歳をすごくごまかしそう。強いチームは常連さんに某Y社とかN社とか研究所がバックに付いてたりしてある種の代理戦争になりそう。

子供が吉原にソープボックスカーレースを見に行くと、なんだか化粧の濃いお姉さんがレースしてるわけです。車体にお店の名前が書いてあって賞金が一千万くらいで、みんな本気でレースをしている姿をみたら、そりゃ子供は目の色変えて大人の本気を観にきますよ。そうしましょう。自分のことを「アタイ」とかいう子は、きっとタイヤに爪が付いてて敵の車体に傷をつける悪いお嬢さんです。途中でナベさんの目が見えなくなるんだけど、吉原の地図かあたまに入ってて見えなくても運転できたりニトロは三回までとかいろいろできそう。