ものを大事にする理由

好きなものの反対は嫌いなものとすると、世の中は嫌いなものだらけになってしまいます。好きでも嫌いでもないものを中間に置いた方が世の中を嫌いにならずに済みそうです。

近頃の自転車のフレームがどうにも許せなくなってきました。デザインとしてあんまり美しくない不思議なフレームを見かけます。形としてかっこよくない。

昨日散歩していたら、チェーンだけ錆びた自転車を見かけました。フレームも泥よけも新しくみえるのにチェーンだけが茶色くこんがり小豆色に錆びてました。よくみるとチェーンの錆びがとんだ後輪軸も錆びていました。ステンレスはちかくに錆びがあると錆びてしまいます。まったくチェーンに油を差さないけれども、屋内保存か屋根のある駐輪場に置いて大事に乗っているようです。乗り方としては相当変ですが、乗っている当人はまったく意に介さないらしくそのまま走り抜けていきました。

古い雑貨が好きです。ちいさい工具とか、道具類がいいですね。ハードオフのようなある程度洗練されたリサイクルショップでは取りこぼしてしまう古い道具は、骨董屋さんの片隅や蚤の市に紛れています。古い道具は良心的な作をしていて、100円ショップにある、いかにも100円で売るために作りましたと主張する品物とは同列に語れません。開発費、意匠にかかった時間、改修にかけた手間などが乗っかっているものは、さして使わないのに思わず買ってしまうことがあります。反対に最近の、いきおい売るためだけに作ったようなものは手に取る前に思わずうわっとうなってしまうことがあります。だから電気が明るいところでいまの製品をみるとなんだかつらくなります。