木工旋盤不発

木工旋盤を作ろうとして作っていない。
理由は大がかりになるから。
あと、案外要らない。

手作業で丸いものを作るとき、角材から丸く削るのは苦ではありません。
浅いお盆くらいなら旋盤がなくても削れるし。ホールソーって手もあるので。

なぜ日本はそれほど旋盤が発達しなかったのか。
正確に言い換ますと、「家庭用旋盤」がそれほど普及しないのはなぜか。

丸いものを作るとき、作るより買った方が安いからでしょうね。100円ショップで買えるし。おそらくこの感覚は昔からあって、北陸の漆器が欲しければ手に入るだろうし、普段使いの瀬戸物もある程度入手しやすかったのでしょう。

ざっくりいえば、土地が狭いこと、物流が発達していたこと、分業化が進んでいたことに由来するのではないかと推測しています。だから、木地を自家製で丸くしろと要求されないので「家庭用」木工旋盤がそれほど発達しなかった。

たとえばミシン。昭和40年代以前は家で洋服を縫製する習慣があり一家に一台の時代がありました。婦人誌の付録は型紙が付いてて。

今はどうでしょう?縫製する技術なんてどこかに忘れてミシンの使い方すら分からないご婦人ばかりです。それは、裁断縫製が手工業から工場制機械工業になったことと、それに伴う価格下落が「作るより買う」を助長したたから。

もうひとつは、竹の存在。

竹は最初から丸いし、薄く剥いで丸めると「曲げわっぱ」になるので、どれもこれも旋盤で作る必要がなかったのでしょうね。瀬戸物も同様です。

大館曲ワッパ協同組合
メーカーのリンク集。協同組合加盟企業。どれも美しい。

大型木工旋盤 最大径25cm 100V 375w RNS

そう言う意味では、日本は各種の素材で出来た大量の物資が昔から流通し、オクラホマの田舎とかアイルランドの奥の方のように、何でも木で作らなくても暮らしていけた、昔から贅沢な国だったのでしょう。