映画も読書も、内容を楽しみながら、観たり読んだりしている自分をどこかで意識しているじゃないですか。その自意識が失われると、つまり作品との距離感がなくなってしまうと、この仕事は成立しないんですよ。
押井守監督の言葉より引用。VRがすごいけれど、はたして自意識を生むのか。他の方法で自意識を積み立ててきた私たちVR以前の世代は、違う何かで自意識を育てたのでVRが人間の意識をつくれるのかどうかから分らない。
科学雑誌に未来はあるか~「ニュートン」出版元経営破たんの衝撃(榎木英介) – 個人 – Yahoo!ニュース
ニュートンが教材作りを名目に出資を募ってしくじった。
きれいなコンピューターグラフィックが沢山載った雑誌でした。
私は活字で科学を読んできたので、活字がグラフィックになったから理解しやすくなるとうい考え方は承伏しかねます。映像になったから分りやすくなのでしょうか?
人気のライトノベル(活字)を漫画化。次にアニメ化。
最初のライトノベルを漫画とアニメが越える保証はありません。
すこし短いたとえ話をしてみます。
月の満ち欠けを説明するとき
- 活字であれば結構な文章が必要になります。
- 漫画なら、見開き半分、原稿の一枚で完成します。
- 映像なら、球体に横から光をあてて光源を移動させると、一発で理解できるかもしれません。
映像が手っ取り早い気もします。しかし、映像で学んだ場合、次の世代につなげるためには映像を更新して次の世代に伝えねばなりません。そのとき、映像を使うと10年保たないことが問題です。いま、VHSテープ三倍録画モードの画質で「月の満ち欠け」の教材を見せられたとして、全員が全員分るようになるか。活字よりは理解の率は高いでしょうけれど、画質が悪いとか出てくる女性アシスタントの眉毛が太いとか余計なことばかり気になるかも。
その点活字は耐久性能が強く、戦前の寺田寅彦のエッセイが当時の本のまま読むことが出来ます。イラストも耐久性が高いので古く見えてしまいますけれど内容を理解する手助けになります。
言葉も変化しますが100年は保つでしょう。イラストも同じくらい。しかし、映像だけはそんなに保たないので、たとえニュートンが素晴らしい三次元立体映像を作って授業に入れたとして結果がでるのはしばらく先となります。
ワタクシの意見は、活字推奨にすべし。
球形のボールに薄暗い部屋で横からライトを当てると、人工的に三日月が出来ますで通じれば充分。
映像にした瞬間、押井監督のいう自意識が生まれる余地がなくなります。ましてやVRまで使うと結果はどうなるでのやら。
個人的には活字が優勢と信じています。活字以外の方法も今後増えるのでしょうけれど、テストのこととか授業の教材を作ることを考えると、やはり活字で問題文をつくるのが正解ではないでしょうか。