外套は古語である

たまに令和であることを忘れます。

2023年のセンター入試国語を読みました。ル・コルビュジエの小論がでてました。上野の美術館がこの人の作なのは知ってましたけど、建築はあんまり興味がなくて、まあ、ビルだねもので。上野の美術館は「松方コレクション」があるそうで西洋絵画はそこまでのめり込みませんが、気が向いたら見てみようかなと思います。

上野の世界遺産「国立西洋美術館」。世界のル・コルビュジエが設計した建築の魅力とは? | 藝大アートプラザ

センター入試の小説は梅崎春生。以前昭和35年位の文藝春秋をめくっていたら梅崎さんちの住所と顔写真が出てて、昔の作家はプライバシーなんてなくて大変だなと思いました。

小説は、戦後直後、主人公が職にあぶれてなんとか入った会社で仕事と人間関係にうんざりする話。サラリーマンの日常と悲哀を描いたものです。

洋服の「コート」を指す「外套」という言葉がでてきます。その言葉は欄外に注釈がついていました。注釈を読んで初めて「外套」がもう廃れた言葉であると気が付きました。私の読んでる本にはコートより外套表記が多くて、すこしばかり古本を読みすぎたかもしれません。

センター入試の設問には「コルビジェ」と「梅崎春生」くらい理解できる良い子に点を差し上げようという意図が見えます。

梅崎の1948年小説を2005年生まれの高校生に読ませるということは、生まれ年の55年前の小説を読めと命じることになります。

私にとって生まれる55年前の小説とはどの時代のどの小説家が該当するのでしょう。

私にとって生まれ年の55年前はざっと1915年。芥川龍之介、有島武郎、夏目漱石、森鴎外が現役でした。言われてみるとたしかに教科書に出てくる小説やら読書感想文の課題図書はそのあたりでした。

テストとして点はとれたような気がしますが、あのあたりの小説のテーマはだいたい好みではありませんでした。だって殆どが若者の成長ストーリーとかそういうのだから。

現在の大学生にとってコルビジェと梅崎春生は私にとっての有島。「生れ出づる悩み」とか言われても、また女の話でグチグチ煮詰まらない話しかよと思うのでした。ハードロマンとか軽めのミステリーととか、サラリーマンが読み捨てたような文庫本を雑多に読んで読んだ端から中身を忘れた身としては、王道の文芸作品は手が出ないのでした。

いまさら王道を歩もうとは思いません。しかし、あまりに偏った読書も良くないなと思い、最近は以下の本を参考にしております。自分では絶対に手に取らないだろう現代の本を読むように心がけています。

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