アルミパイプを曲げればいいのに

ビデオカメラ用のスタビライザーを直す機会が減ってます。以前は止まらなくなるほど延々と作っては直していました。

ユニバーサルジョイントを使いほかの方法を排除したら機材側の発展が止まりました。グリップ周りを決めるとおよその長さと形が決まります。一度コツみたいなものが見えればやることもなくなるのです。どうしてみんなこうしないのだろうと不思議に思うのですが、どこにも売っていない形を作ったので世の中に存在しないのは当たり前。現状私しか作らないからよその人が使うわけはありませぬ。

当人は誰かが真似するだろうと意匠を公開しているのにだれも作らないから期待はずれです。

たしかに曲がったアルミパイプを作るのは面倒です。アーチ状の弓形パイプを作る人が数少ないくらいですから、いま私が使っているピークが3つもあるくねっと曲げたパイプを作るのは、酔狂なものに見えるかもしれません。でもあれはろくな道具を使ってなくて、紙コップ三杯分くらいの海の砂とパイプを塞ぐ20ミリの角材と油性マジックくらいで完成させています。特別なベンダーは使わずに手足で曲げているのでどう曲がるかはそのときの私の感覚次第という、振れ幅の大きな工作物であります。

最近流行のブラシレスモーターと基盤を使ったタイプを観ていると、5軸の安定ユニットを持っているカメラを、3軸のついた電動スタビライザーに積んでいらっしゃいます。レンズユニットを使った安定機能は使ってないとおもいますが、計8軸も使っているわけで、それはそれで大変だなあと眺めるばかりです。まだ製品として確立されたものがないから手に入れるだけで大変ですね。

そっちに手をだしている暇はなく、ようやくアナログスタビライザーで安定したからそれを活用すべく撮影に重心を置くようになってきました。

撮り始めのころは、きれいな女の子のモデルを撮影しようと思ったこともあったけれど、いざ採り始めると男のほうが採りやすいです。フレームの中でどう見えるのかを想像できるので男のほうが楽なのです。ふだん観ている映像は車が派手にぶっ壊れるようなものばかりなので、カーチェイスは楽しく撮れると思います。カメラマンにも撮影の得手不得手の分野はあるはずで、得意な人が得意な物をとればいいのです。アイドルの水着ビデオを観てる人は女の子をとればよいのです。カーチェイスの人は水着ビデオを撮ろうとしても、きっと車に乗せて運転させちゃう。

自分ちの映像フォルダを眺めると、ふんどしをしている男たちか、軍服を着ている男たちの動画ばかりでてきます。ふんどし並みに布面積の小さい女子の映像なんか撮りゃしないのです。気を抜くと溶接で作ってあるなにかとか、厚い鉄板を丸く切り抜いた何かの動画がでてきます。私のフェティシズムはそっちみたい。鉄いいよ鉄。構造物がお気に入りです。

いまになってようやっと画面のレイアウトについて考えるようになってきました。もともと映画は観てるけれど、そんなに執着するほどではありません。ただ、まあ、カメラを使ってなにかするくらいだから映像は好きかもしれない。好きな物には異様な記憶力を発揮するのがオタクといわれますが、たしかに、30年以上前にみた「科学忍者隊ガッチャマン」のベルクカッツェの覆面が取れて画面から捌けるシーンのカメラ割りとタイミングを未だに覚えています。ベルクカッツェが覆面外して髪の毛がぶわっとなって顔を見られないように動き出す一連の流れとカメラのフォローパンの速度は、私がベルクカッツェをヤっていいならすぐに再現できます。ビデオのない時代に映画やアニメを観ていた人の多くはこの手の「映像を記憶する機能」が備わっていたはずです。

それにしても、一度しか観てないのに背景と服の色まで覚えているのはなぜなんでしょう。ガッチャマンの放映ってまだ70年代ですよね。それで一度みて以来ずっと覚えているのですから我ながらたいしたものです。その部分にセンター試験にでそうな英語の単語でも入れておけば良かったかもしれません。テキストデータのほうが軽いのですから。まあ、英単語の記憶は得意な人がやれば良いのです。そして英単語を覚えているひとは、そのかわりベルクカッツェの動きは忘れてしまうのです。いまのガッチャマン(クラウズ)にもベルクカッツェがでてるのですが、なんかいつの間にか若返っていて昔に比べて説明台詞がおくて、しらない人でした。わけのわからんヤツには最初にバードミサイルを撃ち込むべし。