雑な演出

国営放送の首都直下地震の特集みたいな番組をちらっとみたら、ご都合主義だった。映像作品にはテーマが必要で、そのテーマを伝えるために用意周到に立ち回らねばならない。

地震の悲惨さを伝えたいならば、なぜ伝えたいかを自問して、伝えたい相手の理解力に合わせて構造を作って、そこに演出を加えねばならない。

最初に演出ありきだと、作っている当人は製造にともなう快楽を得ても見ている者にその快楽は伝わらない。

首都直下地震をきちんと見ていないから悪く言いたくないが、とっちらかってまとまりがなく言いたいことがよくわからない。すくなくとも次になにかあったら国営放送の報道はきっとひどいものになるだろうという予感しかない。

どうして私はあの番組がひどいと思ったのか?改めてみてみるとドラマパートがダメだ。嫌いな演出。最近の日本映画ってどうしてあんなにどなってるのでしょう。

説明セリフが多いし。

矢追純一のUFO特集をドラマでやらないでほしい。向こうは独自の美学でまとまっているのだ。

現代のテレビ番組の作り手は見ている人がわかってくれるかどうか常に不安に思うのだ。わからせようと過剰な演出をするのだけれど、どうも最近そういうのが多くお腹いっぱいです。それはちょうど動物のエサやりのようなもので、加減がある。その加減を知らぬまま首都直下地震をあおる番組を作るとどなるドラマが出来上がる。

アクション映画もくどくなり食傷気味。やらたと火薬が増えたり、どう考えてもつじつまが合わない派手なスタントが繰り広げられてます。なんというか、興味のない分野のお祭りに巻き込まれたような気分になります。007の新作というかダニエル・クレイグになってからちょっと苦手。映像のリズムの問題かもしれない。

映像をくどく感じるのは私が年を取ったから。いまの演出についていけない。

私が見たいのはもっと知的で静かで品の良い番組です。あたまのわるい芝居がうるさい下品な番組ではありません。

具体的にいうと、むかし日曜の午前中に流れていた「新日鉄アワー ザ・ビッグデー」みたいなの。

説明しよう

新日鉄アワー ザ・ビッグデー 「疎水!京都再生大作戦」 – YouTube
こういうのである。だれもどなってないぞ。静かに矢島正明のナレーションを堪能したいのである。

ザ・ビッグデー – Wikipedia