人を見る目が無い

自慢ではありませんが、人を見る目がありません。

代わりに、金物の角の部分の良し悪しを見る目があります。あと縫い物。縫い目をみるとわかります。だから、よいものを作る人は信用しています。

べつに何でも製造する人がエライと言うつもりはありません。いい仕事を見るのが好きです。

じぶんちの物置で出来の悪い家電を大量に破壊したことがあります。樹脂の量産品はダメですね。10年たたずに劣化します。私の住む地域は不燃物と可燃物を厳密に分けますから樹脂のなかに鉄が入っているものは分解してより分けます。家電製品でも素性のわるいものや、頂いたけれど使わなくなった家電は分解がとても難しい。分解しに食い物は使いにくく死蔵してしまいがちです。

使いやすさと作りやすさ、作りやすさと解体のしやすさは設計の良心が反映されます。

安くて使わなくなる形だけの製品はそもそも使ってもらえるように作って居ませんから、修理も考えて居ません。その手の製品は、一番安あがりの方法で形だけ作って売って儲かることが最大の目的としています。一言で言えば出来が悪いのです。そんな出来の悪いものをバールでひっぱたいてバランバランしてました。むだに構造力学に強くなりました。

悪口はいいますけど、国内の一流メーカーはきちんと分解できる作り方をしています。昭和のある時期以降某所で特定のメーカーが作ったダメな製品群がありまして、そういうのは解体がすごく難しくてバールの出番です。中を分解したうえでこりゃひでぇやとつぶやいたりします。中を開けてみると設計者の心意気がわかります。ちゃんと作ったものは裏切りません。買うときに値段が倍したとしても、国内のメーカーが良心的に作ったならば高くはないなと気がつきます。ただ、そこに気がつくのは使い始めて5年後だったり10年後だったり。家電はそこまで持ちませんけど。例のスマホ洗濯機は10年後に通信方式が変わったらどうするんでしょう。

キッチンウエアは単価が安いので価格をあまり気にかけない分野です。鍋でも釜でもお玉でも、国産はほんとうに長持ちします。昭和の設計者は良心的で、使いやすさが段違いです。うちは家庭用のちょっといいものを引き継いだので、平成の中国製が買えなくなりました。だって中国製の適当な製品は形だけで機能まで満たしていないのです。素材選びも値段で決めてて強度は二の次で、設計に金がかかっていません。コストカットの結果弱い部分が弱いままなんです。だから、そういう製品を普通の値段で売っている小売店には行きません。専門店街のような場所のほうが、ちゃんとしたものが見つかります。ただ、若い経験のない人は大きな箱で得体の知れない安いフライパンを買うんでしょう。

安物を買う人は壊れたら次も安物を買います。だから、一生ステップアップしないのかもしれません。倍の値段で三倍以上もつフライパンを買えばいいと思うのですが、100円でも安いほうを買うのは不思議です。まあ割とモノにこだわりがない人というのは居て、そういう人がひどいモノを買うのをみて、ああ、この人はモノを見る目が無いんだなと気がつきます。使っているモノをみて人を判断しているのかもしれません。とくに、自分でなにか作る人が選んでるのは良心的なものが多いです。