未来において立体プリンタを使うか?
世間が思うほど普及はしないと思うのです。なぜなら、卓上旋盤よりも使う機会が少ないから。日本のDIYやらない率を考えるときっと普及しないでしょう。個人的には樹脂を加工できる二次元の卓上NCマシーンのほうに魅力を感じます。いきなり立体で造形物を作るのはそれほど需要がないと思うのです。
家庭のインクジェットプリンタが年賀状印刷くらいにしか使わないように、立体プリンタは年に一度使うかどうかでしょう。もちろん、模型マニアや趣味で何か作っている人は数年後に大挙して買うかもしれませんが、試作屋と模型マニア、ラジコンの人、原型師までで、そのさき私のところまで来る気がしません。
むしろ、データを作るからあとはプリントパックなり業者が造形してくれるほうが現実的です。
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設備のある町工場をあれだけ潰しておいて、なにがメーカーズ革命かと。
立体プリンタは、経済誌の記者には「ハードが簡単に作れる便利な道具」「ものつくり革命だ!」と意気込むけれど、設計はだれがするのでしょう?
これは、家庭にミシンがやってきたときと同じかもしれません。昔は洋服が高価だったので足踏みミシンと型紙から洋服をつくるのが一般的でした。そのあと既製服が大量に安くできるようになって、電動ミシンにランクアップしたけれど使いこなす人はそれほど増えませんでした。
既製服がたくさんある状態で、たとえば縫い目なしで洋服を作れる立体編み機でもでてくれば売れるかもしれない、しかし、それ立体編み機にデータを入れるのは相当大変でしょう。まず洋服の知識がないと作れないのです。
これと同じことが立体プリンタでも起きます。既製品に組み込む部品や壊れた補修部品を作ることは出来るでしょう。しかし、ゼロからなにか作れといわれたら、せいぜいボールペンの軸くらいが関の山です。
設計が出来る人はきっと使いこなせると思います。でも、その人は一体全体世の中に何人いるのでしょう。