センター小林秀雄

今年のセンター試験は小林秀雄で刀の鍔のお話が問題にでました。

武器として進化しつつ、装飾が加わった。僕はこんなのが好みだよっていう小林おじさんのつぶやきです。
問題文としてみると中盤の仏教の段落と鍔の話が一本につながっていませんので、まじめな受験生にはわかりにくく感じたかもしれません。

鍔は楽しい。根付や帯留め、火縄銃に施された象眼は見てると飽きません。
誠友堂: 鍔販売

深夜プラス1のハーヴェイも小林秀雄と同じことを言ってて、職人の師匠が金の飾り物とかつけなければもっと早く金属薬莢ができたろう、師匠が装飾を初めて弟子がまねしたばかりに金属カートリッジの歴史が遅れたんだと嘆いてました。

深夜プラス1 (講談社ルビー・ブックス)

火縄銃から金属カートリッジに至る道筋は、NHK大河「八重の桜」が参考になります。綾瀬八重が持っているのが初期の金属製ケースを使うスペンサーカービンです。調べないで書きますけど、センターファイヤーではなくリムファイヤです。着弾修正をしてその場で二発目を発砲できるため、武器としての能力は段違いに上がります。

スペンサー銃 – Wikipedia

センター試験を作ってるおじさんたちは、小林秀雄をど真ん中で読んだ世代。問題を決める権利が回ってきたら、自分の一番好きな作家のエッセイを出します。結果小林秀雄になります。大学の経営側は、小林秀雄が読める生徒が欲しい。それ以外は向こう側に降りてくださいという境界線が小林秀雄なのですね。

センターは設問がわかりにくいので嫌いですが、「このくらい読んどけ」と言いたくなる大人の事情もわかります。これが読めない大学生と付き合うのはなかなか大変でしょう。