本を削る機械

本を1000冊読むと、表紙を指でなぞっただけで本の内容が理解できるそうです。たしかに沢山読んでいくと、あるところで本の見極めが早くなります。早く読み過ぎるのでものによっては15分くらいで読めてしまうので本代に困った時期があります。書いてる人には内緒ですが、古本屋が大好きです。

最近も古本屋で投げ売られていた本を買いました。これがなんとも薄汚れていて、お世辞にもきれいではありません。ただ、タイトルの題字がフォントではないこと、汚れ具合から良い本だと判断して買いました。

良い本は汚くなるんです。

何度も繰り返し読むからぼろぼろになるのです。本の汚れは読むに値する本である証拠だと思っていますから、汚い本はもっと胸を張って良いと思います。本の断裁面のうち上の部分を「天」といいます。私が買ったその本は、天に虫の糞が載っていました。当然フンごと買います。

帰宅後早速クリーニングをします。カバーを剥いで水拭きをします。コーティングが弱いのであまり水気を付けません。本体の断裁面はヤスリがけしてならします。天の部分のおそらく蜘蛛の糞は、削ってやると薄くなり、面積も1/3ほどになって目立たなくなります。ただの汚い本であれば手をださないところですが、これは良い本なので手を掛けて読むことにします。

古本に限らず本を削るときは断裁面を磨きます。私がいつも通っていた、今はなきK書店のように一冊ずつちまちま削る方法もありますが、本があふれる現代に置いて手磨きには限界があります。大きめのブックオフに行くと突然大きな音を聞くことがあると思います。あれは専用の機械で本を磨いているのです。「バスンバスン」と大きな音とコンプレッサーの作動音がしているときは研磨、俗に磨きという作業をしています。カバーを外して束にして10冊ほど並べて、専用の台に本を挟みます。下向きの本の断裁面は1メートル四方のでっかい紙ヤスリに押しつけられ、左右に揺すられ断裁面が削られます。

古本屋ばかりでなく、新刊書も同様の機械を使って削っています。ときどき本体が痩せすぎた本があるのはこの機械を使うから。あんまり削り過ぎるとカバーと中の断裁面がずれます。新刊書店でその手の本を見つけたら、ずいぶん売れてなかったんだなあと同情してあげます。買わないけど。

*** 株式会社 辰栄 *** 書籍研磨機シリーズ
専用の本を削る機械
何とハードカバーの丸い断裁面を削る専用機があります。カバーを付けたままハードカバーを削る機械なんてものがあるのですね。