バーコード付きの本は物体である

書籍の裏、本の裏表紙にバーコードが突き出したのが1990年以降。私の記憶でもそのくらいです。私の読書歴はバーコード以前から始まり、古本屋通いが主でしたから新刊のバーコードにはあまり縁のない読書生活をしていました。

バーコードが本に付いたとき、こんなみっともないものを付けるんじゃない、読書は文化だぞとすこし怒りました。本のカバーを作る装丁作家のかたも、あんなものを付けられてはたまらないと抗議がでたような記憶があります。

人間も、番号がつくと途端に人格を失うように本にバーコードをつけると人格を失います。ためしに国宝級の掛け軸があるとして、そこに4109番なんて番号を振った途端にそれは商品になり、文化財のニオイを消し飛ばしてしまいます。だから安易に番号を付けるのは良くない。

町名も残して置かないと町のニオイがなくなるように思います。行政の都合で言えば区画整理したかんたんな数字の町名のほうが楽なんでしょうけど。

数があるていど多くなり分類が必要になると番号づけが行われます。それだけ日本の出版点数がおおいのです。私がよく買っていた古本屋の本から推測すると、たぶんビートルズが来日したころと、1996年の総出版点数が最大だったころとでは単純に3倍は違うと思います。1970年代は1996年にくらべて出版点数は1/3程度だと思います。そのくらいなばベストセラーの出る余地もありますし、みんなが同じ本を読んでいても不思議ではありません。

書籍の発行点数と販売部数の推移:【 FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター 】
データをみると、やはり1/3ほどです。なぜそれがわかるかと問われれば答えに窮しますが、長いこと本屋のバーコードのない古本をみているとわかるんです。当時のベストセラーの数とか、書いてる作家の人数、文庫の棚の占有率、文庫になるまでの時間など見てると統計データを見る前になんとなくわかるんです。

書籍JANコードについて「バーコードについて」のまめ知識:バーコードシールは、バーコード屋さん

2003-06-11 – 新・読前読後