することのない未来

近所のガソリンスタンドが移転してました。移転というけれど事実上の撤退です。以前はよく給油していました。あるときから給油してくれる子がなんだかいつも研修の名札を付けていてトレーニングセンターのごとし。交差点の角にあるので国道に出るのが難しく混んでいる時間帯は小さい車で入ると店員に見ていただくことができないため車体の大きい車に順番の先を越されます。いつまでたっても注文を聞きに来ない謎のシステムでした。

いまはすこし離れた半分セルフの給油所を利用しています。そこは見た目が地味な店員さんばかりです。セルフですが端末の操作を済ませると給油自体はしてくれる仕組みです。片膝をついて傅いてくれる給油所は、気恥ずかしいので行きません。プリペイドや割引の仕組みが複雑なところも避けます。この半年はもっぱらその半分セルフにばかりです。

どうして順番抜かしの給油所が無くなったのかは分りません。法改正で地下タンクの耐震改修にお金を出すのが辛かったのかもしれません。

ひとりの客としては、大きな不満はなかったけれどちいさな不満が積み重なって離れてしまいました。ちいさな不満の一番大きな要素は従業員の不安定さで次々くに人が入れ替わっても私にはひとつも益がないんです。お金を取られた上に利益がないなんて、いまどきわざわざ来た客に別な商品の宣伝をして、泥棒するなよって小言をいう頭のおかしな映画業界以外くらいのものです。

内燃機関バンザイ

そもそも移動手段として乗用車は非効率です。その燃料を毎回有償で補給するのも癪に障ります。癪に障る上に空気は汚れるしぶつかれば人が傷つくし健康から遠のきます。今年は後半だけで二度、自動車の衝突を眼前で見ました。3度目は音だけききました。それほど危険ならば自転車にのれば良いのです。自転車は精神と体の活動を活発にしてくれます。燃料はいつも食べているもので充分です。特別な道具も必要なく10キロ移動するのにガソリン税もガソリンも不要です。ただ、張り切って百里基地に航空イベントを見に行くと、その次の週あたりに風邪を引いてひどい目に遭います。

自転車は車体の購入を済ませればあとはマメにチェーンに注油するだけです。政府というものは往々にして経済を優先しますから、安全より経済産業大臣はカワウチ原発を稼働させるのです。原発は安全に使えば安全なのですが、動かしているヤツと作ったヤツがアテになりません。これまで安全の理由は「僕たちが作ったから」でした。その「僕たち」の中身は政治の真ん中にいる人と国を動かす優秀でグローバルな人材だと思われてきましたが、まあ、たいしたことがないわけで、バカにハサミを持たせた私たちが悪いんです。自動車に乗ってガソリン税に消費税を加えて何パーセントかに増えた税を納めて移動することは、国策にあった素晴らしい行為なので率先して行いましょう。

もう移動したくない理由

ローソンがアマゾンの商品をロッピーで買えるようにすると聞きました。これで買い物に行くことがすくなくなります。移動の大半は通勤で、それ以外は買い物です。買いに行って欲しい物がないお店に行くよりは、確実に欲しい物を手に入れたい。関東圏ならおそらく翌日配達になりますから、自分が移動して手に入れる手間と引き替えに一日荷物が届くのを我慢します。我慢すれば確実に手に入るのですから人はみな確実に手に入る方法が正しいと考えます。

家電量販店が急になくなることはありませんが、蛍光灯からLEDになり長寿命になり、ハイブリッド車がガソリンを入れ忘れるほど燃費がよくなれば、お金の使いどころは変ります。このさきどの産業が勃興するのかは分りませんけれど、ガソリンスタンドがなくなったというのは移動が少なくなった証拠で旅行好きの年寄りがいくら移動しても行ける場所には限界があります。

若い世代があまり移動せずに狭い地域でぬくぬくと生活しても、以前ほど飽きないでしょう。東京のように人がいたほうが面白いかもしれまんせが、まわりに人が少なくても物だけはロッピーで届きます。アマゾンその他の通信販売で完結します。他人と関わるコストはもしかすると高くなるかもしれませんが、それは会いに行くから。あわなければタダ同然に文字や音声で会話ができます。

余ったコストはなにに使いましょう。私は過去において本買うために結構な距離を移動しました。いまは読んでいる本のほとんどが通信販売です。つぎの望みは、本を買うのに飽きること。本を買わないことまでどうにか進化したいものです。ようやく本を読むより頭のなかでいろいろ考えることが楽しくなりました。家で物をつくったり作る物について考えることが最高に楽しいのです。

だれかが作った自動車に、順番を抜かされてまで給油して、そうまでして移動する理由がなくなってしまいました。

これはなかなかにひどいことです。しかし行き着いた生活様式です。

ただ私たちはそれ以前の時代を長く生きてしまったので、まだ買い物に行くことがあたまのどこかで正しいと信じ込んでいます。しかしこれは過去の習慣を覚えているから違和感があるのです。この先行き着くところは家でなにかを作ること。家や自動車、家電の大きめの冷蔵庫や洗濯機は高性能で長持ちして家の掃除はロボがやってくれるのでそれを使うこと。

反対側のDIYも小説書きも漫画描きもしない人はもてあました時間をどう使うかに困るかもしれません。

そんな時代がすぐもうそこまで来ています。