カメラスタビライザー(自作ステディカム)の作り方について

要求に合わせて形を決めることになります。とはいっても最初からどうすればいいのかは分りませんから、なんとなく見たことのある物に似せてデザインをして、現物を作ります。できたものを実際に使ってうまくゆかない失敗を見つけます。私の場合は失敗を言語化します。次にその問題を理屈で回避し形に変換します。こうして使えるデザインが決まってゆきます。

必ずしも図面に残しているわけでもなく、どちらかというとラフスケッチとメモで設計が進んでゆきます。作るときも図面は作らずに現物合わせと目分量で切って貼ってを繰り返しています。うまくゆくときは言語で考えるよりも先に手が対応して作ってくれます。

使う素材は安価であること。個人が家で簡単に出来る素材であること。アルミ削りだしのジンバルがお望みなら最初から製品を買った方が安全ですのでここでは除外します。おもに、ホームセンターで手に入る水道管の塩化ビニールパイプ、コンクリートの型枠用に使う、どちらかといえば使い捨てのコンパネという合板。2013年まではアルミパイプを使っていましたが、2014年になると木の棒を多用しています。基本的は木です。強度が必要な部分に適時鉄、アルミを使います。

なぜ失敗こみで公開するのか

稚拙な物で公開するか躊躇しましたが、これから作る人の反面教師になるように失敗も残しています。失敗はなかったことにしたいところですが、なるべく当時のまま公開してあります。

デザインを決める

なぜ弓型が多いでしょう?同じ長さのチューブを曲げるなら最大値は円だからです。カメラ、中間オモリ、下オモリの3点をジンバルから遠く離さねばなりません。距離を稼ぐには円。腕があたらないように半円になります。

設定

カメラとジンバル・グリップとの距離は短く詰めた方がオモリが軽く、全体も軽くなります。一方、カメラとジンバルの距離を詰めすぎると全体のバランスをとるのが少し難しくなります。理想の比の長さは1対1です。ただ、額面通りつくるとオモリとカメラが同じ重さになり重くなります。人の腕が支えられる重さには限界がありますから、ある程度形になったら実際に使ってオモリの配分を調整しましょう。経験則で理屈はわかりませんが、カメラとジンバルとオモリの比は、1対2では大きすぎで2対3までに収めたときのほうが落ち着いて操作できます。一眼レフ用になって、マーリンの弓形半円型から縦軸を持つスレッド式になってもこの理屈は一緒で、できるだけ1対1になるようにしています。実際には3対4くらいで運用しています。

マーリンを安定させるには

弓形で問題となるのはヨー軸の回転です。オモリを軽くした場合、半円は中間オモリと下端がもっとも離れています。しかし、案外カメラの前後は狭いままで、ジンバルの作りが悪く抵抗が大きいと左右の首振りを起こしてしまいます。なるべくオモリの前後を離すことが重要です。自作機の場合はオモリのレイアウトで対応しましょう。

一本のパイプをまげて、そのまま使う作り方があります。このタイプは上下の調整ができないことが欠点で調整がやや難しくなります。マーリン2ほどの本格的なものはではなくてよいので、できれば弓の開き閉じ機能を付けたいところです。もっともパイプ一本曲げの固定式マーリンタイプでも調整ができれば映像は安定しますので、使い方次第という面も否めません。ただ、最初のなにも知らない状態で固定式を使うのはなかなか大変であまりオススメはしません。




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